『椿姫』in ABYSS
○あらすじ○
ルーク(♀)はファブレ公爵家の令嬢だったが、あるとき国内の戦争によりルーク以外の一族の者はほとんどが死に、
復興は厳しく、両親も居なくなってしまったルークは天涯孤独の身になってしまう。
しかもルークは残った莫大な財産を他の生き残った者にほぼ摂られてしまい、両親の残してくれた残り少ない金で何とか暮らしていた。
ルークは心臓が生まれつき弱かった。そのために家の外には中々出してはもらえず、ルークは外を全く知らなかった。
家の中の奥のまた奥、深い地下の様な場所でルークはずっと生きてきた。
だからこそ、ルークの存在は人目に触れず、戦いに巻き込まれずに生きてこられたのだ。
誰も居ない広い屋敷の中を彷徨い歩く。それだけのことですらルークの体には負担をかけていて、今まで生きてこられたことこそが奇跡だった。
食料は残りわずか、毎日飲む薬も後数回分しか残っていない。ルークはあるだけのお金を持ち、家の外の世界へ出て、初めての明るい世界を目の当たりにした。
服は誰も居なくなった日から来ていた服、その上に白いコートを着たルークはふらふらと町を歩いていた。
腰の辺りまで伸ばした長い朱毛が、ルークが動くごとに揺れる。興味津々とばかりに瞳を輝かせ歩いていく様子は誰が見ても微笑ましく見えた。
ルークは目当ての薬屋に何とか辿り着き、その扉の前で一度止まる。
人に会うという緊張か、それとも疲れが出たのかルークの鼓動はドクドクと音をたて、ドアノブに手を伸ばそうとしたその時、自動的に扉は開いた。
とっさのことでルークは動けず、額を盛大にぶつけてしまう。大丈夫ですかと上から手が差し出され、ルークは頷き、戸惑いながらもその手をとる。
そしてお礼を言おうと声の主へと顔を上げたルークはそのまま固まった。所謂一目ぼれと言うものだった。
男も一瞬動きを止め(ジェイドもルークに一目ぼれ)それから 固まったルークを不思議に思い、声をもう一度かけた。
男はルークと共に再び薬屋に入り薬屋の内装に目を丸くするルークを観察する。
青白く弱々しいほどに華奢なその体に、何らかの病気なのだろうと思い、ふむとひとつ頷く。
ルークが薬屋の店主と一生懸命に話しているのをみて微笑ましかったが、その内容に眉を顰めた。
聞こえてくる薬の名は全て心臓の病の薬。見たところ彼女がその病を患っているのだろう。
親はどうしたのだと男は彼女の後ろ姿を見つめていた。彼女がおろおろと財布を漁る。薬の名は高いものだらけだった。
ならば金が足りないのだろうと男は思い、彼女の横に行きお金を店主の前におく。
ルークは一層焦りだし男を止めるが、男はやんわりと遮り、買った薬を手にルークに優しく微笑んだ。
実際ルークはお金が足りないばかりか、払い方さえもよく分かっていなかった。
閉じ込められていて、気付いたら一人きり。ルークには何も与えられていなかったのだ。
たとえ、親の愛情があったとしても。
ルークは男の名をやっと知り(以下ジェイド)、ジェイドはルークの事情を聞き出しながらも、思考を膨らませる。
それは、傍からみれば善意的なものではあったが、ジェイドからしてみれば、なんて卑怯な者だろうと自分を嗤った。
ルークを側におきたいが為に己の家に住ませるということ。ジェイドは自分が医者であることを明かし、ルークにもっと良い治療を受けるように勧める。
それにはジェイドの家ならば都合がいいなどといい、お金はいらないからとルークを誘う。何故こんなにも執着しているのか彼は自分でさえも解らなかった。
ルークは躊躇するが結局ジェイドの誘いを断り屋敷の前へと辿り着くと彼に別れを告げ、ルークは中に入ろうとする。が、ジェイドの言葉に振り返った。
「また来てもよろしいですか?」その言葉にルークは驚いて目を見開くが、嬉しそうに破顔した。
ジェイドは毎日のようにルークの屋敷に通った。ルークは次第にジェイドに好意を寄せる自分に気付く。
ジェイドの飾らない言葉に一喜一憂し、顔を真っ赤にさせる。ジェイドにはルークの仕草も言動も、全てが可愛らしく映った。
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お題『恋唄100題 その一』by追憶の苑 2008/05/05〜
1〜5/6〜
お粗末さまです。これにいくらか肉付けした本文をUPしますが、かなり長い話になると思います…頑張ります。
無理やり感がありありとわかる終わりです。まだ第一章。これから二章へ展開します。(二章もあらすじは早くにUPするつもりです)
歌劇『椿姫』と大体は同じ様に進めていくつもりですが、(『乾杯』を書く場面が無かったけれどっ……!きっと本文で書きます。)
設定から随分と捏造しているので椿姫とはいえないかも知れませんね。でも決闘シーンは絶対に書きたいのです。
08/02/19 改08/05/31