「雲雀!」
山本が雲雀に声をかけると、雲雀はこちらをみた。 鋭さを増し、殺気をあふれさせ、トンファーで綱吉に殴りかかる。 これが当たってしまえば、綱吉はひとたまりもない。
「おい!何してんだっ……!」
山本が、雲雀と綱吉のあいだに割って入った。トンファーの軌道は少しばかりずれたが、それが災いしたのか、山本に直撃した。 ガツンと、鈍い音が響く。
「あ゛あ!!」
山本は、吹っ飛び、悲鳴をあげてコンクリートの地面にたたきつけられた。
「山本っ!」
駆け寄って、山本を揺らせば、意識はない。
「…山本!山本!」
倒れた拍子に頭を強く打ったのか、出血している。 それは止まる様子を見せることなく、地面にたまり続ける。
「き、救急車!」綱吉は慌てて、周りを見渡した。 辺りには人は誰もいない。呆然とした様子でこちらを凝視する雲雀の姿だけだ。
「ヒバリさん!お願いです!彼を助けてください!!」
必死に頼み込む綱吉の姿に、雲雀は動揺した様子を見せた。
「何を言ってるの、自業自得だろ」吐き捨てるように、自分を落ち着かせるようにいったそれに、綱吉は眉根を吊り上げた。 なんてことをいうのだ。
「あなたは医者です!人の命を救う医者です!あなたがしないで誰が見るんですか!」
「僕には…できないよ」ぽつり、とこぼす。
「無理なんだよ、もう」
「…わかりました。いいです、それなら携帯を貸してください。救急車を呼びますから!」綱吉は切羽詰まったように叫んだ。

救急車が来るまでがとても長く感じられた。綱吉は、山本を動かさないようにしながらも、怪我の具合を見ながら、山本に声をかける。 山本は、一度意識を失っていたものの、意識を取り戻し、おろおろとうろたえている綱吉に大丈夫だ、と笑ってまた目をつむった 。時間がたてばたつほど、冷静になる自分と焦りを隠せない自分がいる。
オレのせいだ。オレのせいだ。オレのせいだ。彼を巻き込んでしまった。雲雀を、苦しめてしまった。 追い詰めたのはオレだ。オレなんか消えてなくなればいいんだ!あのまま、死んでいればよかった! 彼に会おうとしなければ、こんなことにはならなかったのに!
「…ねえ」
普段の様子に戻った雲雀が佇んでいた。
「どうして君は、泣くんだい」言われて気づいた。大量の水が綱吉の視界を遮っていた。
「オレが、情けないから。…醜いから。汚くてどうしようもない」
「ふうん、そう」
「死にたい、あのとき死ねばよかった」
「じゃあ死ねばいいじゃない。自殺がいやだったら殺してあげるよ、目の前の彼のように」
「山本は、死んでない!彼は生きるんだ!生きて、幸せになるんだ!」
「へぇ、君、本当に咬み殺されたいんだね」雲雀は、綱吉を嘲笑った。
「…どうして!どうしてわかってくれないんですかっ!」
「…?」
「オレはっ、そんなあなたがみたかったんじゃない!あなたは、どうして変わってしまったんですか?!」
「…なんなの、君」雲雀の声を遮るように、救急車のサイレンの音が鳴り響き、救急隊員が到着した。 山本が担架に乗せられ、綱吉に隊員は車に乗るように言った。
綱吉は一緒に来てください! そういって、嫌がる雲雀を車に無理やり押し込んだ。綱吉はそのあとに救急車に乗る。並盛病院へと車は急行した。






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