読み終わり、雲雀を見れば、彼は、顔に手をあてていた。雲雀さん、綱吉が雲雀に声をかけると、雲雀は小さく、すまない、と言った。 そして、腰を上げる。綱吉はまだ話が終わってないとばかりに雲雀を引きとめた。
「待ってください、まだ、伝えたいことがあるんです!」
そう、雲雀への思いだけではなかった。綱吉にはまだ、やらなきゃならないことがある。
「綱吉君は!生前、言ってました!あなたの海外行きについていきたいと!」
どうして知っているのかと言った顔を、雲雀はする。
「綱吉君は、…一緒に行けなくても、形だけでも、そばにいたいのだと言ったんです!だから、保険金をかけた…あなたの海外に行く足しにしたくて」
雲雀は、そう言った綱吉に、ふざけるなと言った。
「……あの子は、そんな理由で、そんな事をするような子じゃない。…もういい。さっさと目の前から消えて」
声は、震えていた。悲しみなのか、…怒りなのか分からなかった。再び、トンファーを取りだされ、綱吉はびくりとした。
「ヒバリ!」
鋭くリボーンの声が聞こえてきた途端、雲雀は我に返ったようで、綱吉を見る目は冷たくなり、背を向けた。
「もう、目の前に現れるな」
言葉はひどく冷たく、綱吉の心に突き刺さった。


「なあ、」
雲雀が去り、一瞬の静寂後、リボーンは綱吉に話しかけた。
「お前は、綱吉の何だ?」
「…友人です」
「…友人でもなんでも、言っていーことと悪いことの区別はつくんじゃねーのか?…お前のしたことは、綱吉の思いを、勝手に読み上げて…お前もつらかったんだろーがな、 他の、残された奴の気持ち考えたこと、あるのか?」
静かに、怒っているのだと、綱吉は感じた。
「オレ、は」
リボーンの言っている事は、わかっている。そう、わかっているのだ。…本当に…?
「ツナはまだ、俺達のなかで生きてんだ。それを、踏みにじるなんて真似、許せねえぞ」
綱吉はうなだれた。そんなつもりではなかった。 リボーンや雲雀を悲しませるつもりだったわけじゃない。
「お代はいらねえ…だがもう、ここにはくるんじゃねーぞ」
あぁ、と綱吉は思った。
「悪かった……リボーン」
深く頭をさげて、綱吉は店を出て行った。去り際に小さく謝罪の言葉をすれば、聞こえていたようで、リボーンはお前…と呼び止めかけた。
(どうして俺の名前を、知っているんだ)
答えは、返ってくる筈もなかった。






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