雲雀が現れた。奇跡が起きたのだ。綱吉の願いをかなえてくれたのだ。
雲雀は何も言わず、呼吸を整える。そして口を開いた。
「君、だったんだね」
ハーモニカを一瞥された。 綱吉は何も言えなくなった。雲雀が目の前にいるのだ。彼と、最後に会えたのだ。会ってしまったのだ。
「なんで持っているの」
雲雀は言った。ハーモニカを凝視され、綱吉は身じろいだ。
「なんで君がそれを知って、あれを弾いたの」
綱吉は、答えられない。声を出せば、すべてを話してしまいそうだ。 そしたら、目の前で消えることになってしまう。彼の前で、もう一度消えなければならない。そんな事をしたら、雲雀は。
雲雀は口を噤んだ。綱吉は雲雀の様子をうかがう。雲雀は何かを考えているようだった。
そして数秒が経ち、雲雀は綱吉を凝視した。 綱吉は目も合わせられない。雲雀は真実に近づいているようだった。
それ以上、考えないで!綱吉はそう言いたかった。 でも、言ってしまったら。それこそおしまいだ。
彼は鋭い。わかってしまう。知られてしまう。あぁ、どうしよう。 …逃げてしまえばいい。最後に会えたのだ。もういいじゃないか。そうだ、逃げよう!そう思い立った時、雲雀は口を開いた。
「君は。…君は、綱吉なのかい?」
遅かった。消えてしまう。消えてしまう。
あぁ、どうか、あと少し時間を下さい。
最後に、少しだけ。少しでいい。
星がきらりとどこかで輝いた。






星に願いを