「迎えに来ました。…ルーク」
過去のコーラル城は昔来た時よりも廃れてはおらず、過去の因縁の残る
機械のそばには、赤毛の少年が裸で、丸くなっていた。
生まれてから数時間とたっていないであろう。
「うぁああ」
意味のない言葉を発っしながら、焦点の合わない目をさまよわせて、少年を呼ぶ声に反応する。
その目は純粋で透明で、ジェイドはあぁ、と落胆と歓喜の両極端の感情に揺れた。
(やはり、私だけですか)
戻ったのは私だけ。皇帝に過去と言う未来を伝えてはいるが、それでも経験したのは私一人。
未来を変えて見せるのだ。
私だけででも。
そのためには何でもするのだと誓いを立てた。
2度目の生はジェイドを変えさせた。すべては、生まれてくる愛しい子のために。
『ルーク』をキムラスカ側に帰し、ジェイドはルークを手に入れた。
それにより、マルクトとキムラスカの関係は一時的に良くなり、和平条約が作られた。
第7譜石の預言とルークの存在をキムラスカ側に秘密裏に伝え、ダアトとの関係を悪化させた。
預言に頼る者は少しずつ減ってきている。ダアトをぬかし、人々は、変わっていく。
ジェイドが、過去の経験をもとに、マルクトを動かし、世界を動かしたのだ。
これで、子供は幸せになれるのだ。
泣かなくていい。悲しまなくていい。
もう、あんな思いをすることも、ない。
「ルー、私は、ジェイドです」
ルーと名付けたのは少しでも、あの子の面影を追いたかったから。
髪の色は連れ去ったときに違う色へと変えてしまった。揺れる黒髪は肩にかかるほどの長さだ。
自分と同じ金に染めようともしたが、子供には似合わず断念した。
暮らして数日が経ち、少年は歩けるようになり、少しづつ、言葉を覚えだした。
何にでも興味を示し、あれは、これは、と指をさしてはこちらがこたえると嬉しそうに笑う。
額にキスを落してルーの翡翠色の瞳を見つめる。
その中に自分が映っていることにひどく安堵した。
「じぇ、ど?」
「おしいですねぇ、もう少しです。ジェ・イ・ド、です」
「…じぇー、ど?」
「えぇ、その調子ですよルー」
「ジェイド!」
刷り込ませた、己という父親の存在。
にぱりと笑う我が子に、ジェイドは微笑み返した。
(今度こそ守ります、二度と失わぬように)
(わけもなくすきbyafaik)
これもひとつの愛の形。逆行したジェイドのあるひとつの行方。
…短いですか?気のせいです。(本当に短いですが…笑)
私はこのくらいの長さの方がかけるのかもせれませんね。
2010/03/17