わるい子だったわたしはわるいおとなになりました



「えぇぇ!? ジェイドって今日が誕生日だったのか?!」
子供が煩いくらいの大声で詰め寄ってくるのをジェイドは書類を高速で処理しながらちらりと眺める。
「あー、そんな日もあったような気がしますねぇ。忘れてました」
「っておい! 自分の誕生日くらい忘れんなよ!」
「私も年ですし、私を祝う酔狂な方なんていらっしゃらないですしねぇ。どうでもよかったんですよ」
毎年、馬鹿皇帝が無駄に盛大に祝っているのだが、それはまた別だ。 あれはあの馬鹿が騒ぎたい名目だと知っている。
「陛下に聞いたんだぞ。お前今日誕生日だから、祝ってやれって。俺、何にも用意してねぇじゃん……」
ひとりで落ち込んでしまった子供をジェイドは観察する。しかし、手の動きは止まらない。
「そうですねぇ。では、少しばかり待っていて下さい。仕事を終わらせたら、デートにでも行きましょう」
「え?いいのか?」
「陛下もそのために貴方をここに向かわせたんでしょう。いや、ですか?」
「う、ううん。嬉しい。でも、何かジェイドにすることはないか? 今日なら何でも聞くぞ」
「おや、うれしいことを言ってくれますね。貴方にそんなことを言っていただけるなんて。 いいんですよ、私にとって貴方と過ごすことが1番のプレゼントなんですから」
そういえば、子供は顔を真っ赤にさせて、パクパクと口を開いた。
「〜〜〜っ! こ、紅茶でもいれてくる!!」
走り去った子供の背を眺めニヤニヤと笑う。
「本当に、可愛いですねぇ」

紅茶を持ってきてから仕事をしているジェイドを眺めたり、うろうろしていたルークは、いつの間にか客人用のソファに丸くなって眠っていた。 ルークの為に仕事をいつもよりも早く終わらせたジェイドはルークの幼く見えるその眠った顔をみて呆れたように苦笑する。
「デート、行くんじゃなかったんですか?」
頬を軽くつねるとルークがうぅんと唸り、目を擦りながら起きだした。
「じぇーど、おはよ……。っっうわぁぁ!! ご、ごめん俺…」
寝ぼけていたのか、いつもよりも幼くみえたルークは一瞬のうちに覚醒した。 しょんぼりと項垂れる子供の額を軽く叩いて、ジェイドはルークに笑いかける。
「いいですよ、疲れていたんでしょうし。その代わりといっては何ですが、今日残りの一日丸々、貴方の時間を下さい」
目をぱちくりとさせて、意味を理解したのかルークは嬉しそうに笑った。
「おう! 誕生日おめでとうジェイド。生まれてきてくれてありがとうな!」
そして仲良く去っていった彼らの先を知るものは誰も居ない…。
















(わけもなくすきbyafaik) 2008/11/22(2009/3/11 再録) ジェイドへの誕生日プレゼント?