なぜ。 どうして。そんな言葉しか浮かばない。
世界が元に戻る。過去に戻っていく。記憶が、頭の中で凄まじい勢いで流れていく。
遠い過去が、心の闇が、優しい記憶が全てルークの中で渦を巻く。





『ルーク、お前には幸せになってもらいたいのだ』


いやだ。戻りたくないよ。


『……ルーク。お前は、』


そうだ、もうやだよ。世界が傷つくのも、人が死ぬのも……俺が苦しむのも。何もかも見たくない。


『すまない、ルーク。これは我の我儘なのだ』



もう止められないのだと、ローレライは言う。


なぁ、どうしてだローレライ。終わらせてくれよ。


『我はお前の味方だ』


だというのなら、どうして。


『我の同胞よ。愛しいルークよ。今度こそ幸せに――』



―――やめろ、やめてくれ。やめるんだ。ヤメロォーー!!









世界が反転する。
全部全部、元通り。命を懸けて守った世界も。彼等の事も。俺が犯した罪さえも。



そして、そこにはいつかみたうつくしいセレニアの花。
戻ってきてしまったのだと嘆き悲しむルークの側には、眠るかの人。
世界はうつくしくて。だけど、残酷で。
ここまできてしまったのなら、後は繰り返すしかないのだと。
その場に佇んで、静かに目を閉じる。



ぽたりと落ちた雫はセレニアの花に落ちて。
強く微温湯のような風が吹いて、長い髪が踊った。




うつくしいだけの記憶なんて、

ある筈ないよ

(幸せって、なんですか)
(繰り返すだけではないのですか)


08/03/13 chisa