俺がお前と同じように、人間として生きていたなら。何が、変わったのだろう。
お前が俺と同じように、人形として生まれてきたのなら。―――何か、変わったのだろうか。

世界は人間とそうでない化け物に区別され、化け物は生きる価値もないものとされた。 人間が生み出した化け物を、人間は玩具のように使い捨てていく。 一人だけ人間と認められた化け物には、それが耐え切れなかった。
人間は、もう俺たちを見捨てた。いや違う、俺たちが先に見限っていたのだ。 最初から信用などしていなかった。ずっとずっと疑っていたものが顕著に現れた頃、化け物たちは動き出した。 我々だけで、生きていける国を作ろう。人間の入ってこれない聖域を。 そういって、まだ生き残っている化け物に訴えかけたのは、認められた化け物だった。

彼の名を、ルークといった。


「久しぶりだな、ジェイド」
「えぇ、お久しぶりです。お元気でしたか? ……ルーク」

殺伐とした空気の中交わされる暢気な会話に、周りの人間もレプリカたちも口を阻めない。

「元気だったよ、お前たちが来なけりゃ、な」

言葉の途中で自身の剣を振り上げて急所を狙うが、簡単に避けられてしまう。

「危ないですねぇ、殺す気ですか?」

笑いながらも、ジェイドの眼は笑っていない。

「いや、挨拶がわりだよ」

そしてルークもまた、ニコリと笑って剣をおろした。

「お前こそ、俺を倒しにきたんだろう?」
「……まぁ、そんな感じですかね」

ジェイドは後ろにいる部下たちを下がらせた。その様子にルークはきょとんと首をかしげる。

「さぁ、此処には私一人しかいません。貴方もお仲間を下がらせてくださいよ?」
「しょうがねーなぁ。まぁ、そうじゃなきゃフェアじゃねーし。いいよ」

ルークも同様に仲間を下がらせ、ジェイドと見合う。 どちらからも中々次の言葉は出てこなくて、空気がざわついているのを肌で感じた。

「……なぜ…なぜです?」
「何がだ?ジェイド」
「貴方はなぜそちら側にいるのですか?私には、「俺もわからないよ。でもさ、ジェイドだってそうだろ?そこにお前の意思はあるか?」
「…………」
「俺は、仲間を救いたかっただけだ。それのどこが悪いことだ?」

人間にとって都合の悪いことは全て悪いことなのか?

「…………」
「答えてくれよ、ジェイド」

顔を見れば、昔良く見た、悲しそうな、辛そうな表情。 ルークはルークだったのだと、喜ぶと同時に、ジェイドは胸の痛みを強く感じた。

「貴方たちにとっては、良いことなのでしょう。善悪で言うなら善なのでしょう。ですが、我々にとっては貴方たちの考えは脅威だ。 特に貴方は。故に我々は、貴方たちのことを制限し、貴方たちを裁かなければならない」

反論を許さないジェイドの口調と、ジェイドの歪んだ顔を見て、ルークはそうか、とだけ答えた。

「らしくねーぞジェイド。いつもみたいさ、なんか嫌味でも言ってないとこっちがおちつかねーよ」

一緒にいたころとまったく変わらないルークの笑い方に、ジェイドは唇をかみ締める。

「交渉、決別ってことでいいんだよな」
「そう…みたいですね」

そして、どちらからともなく武器を相手へと向けたのだった。





「ごめんな、ジェイド」
「すみません……ルーク」

1番言いたかった言葉を、どちらも言えずに。心の奥に、封印して。





ED後捏造。赤毛二人とも帰還設定。
2008/04/30→2008/05/31 chisa