「行ってきます」
「えぇ、いってらっしゃい」

―――まってて、すぐに戻ってくるから。
(はやく戻ってくるんですよ)
だから、……忘れんなよ?
(はやく帰ってこないと……忘れてしまうかもしれませんねぇ)


約束だ(です)
戻ってきたらそのときは、
(あなたとの未来を、この手に、)

未来の行方を知っている。
戻って(かえって)これないことも知っている。
それでも、交わした約束を、差し出した相手の小指の熱を覚えている。

「馬鹿ですよねぇ、私も、彼も」
約束をした。戻ってくると、二人きりで約束をした。
馬鹿みたいに明るい青空の下で、ジェイドは一人呟く。

(言葉には、したくない)

―――私のもとに彼がかえってこないなどと。

彼を一人残したエルドラントの見える場所にジェイドは一人で立つ。
セレニアの花は、まだ明るいせいか、蕾を閉じて、葉に太陽の光を吸収させている。

「また来てしまいました」
(あなたの最後にいた場所の、すぐ近くに)

ジェイドは暇を見つけては、やってくる。
誰になんと言われようとも、ジェイドはそれを繰り返すのだ。
もう、戻って来れないことをしっている。
だからこそ、だ。
それが贖罪とでも言うようにジェイドはやってくる。
奇跡なんて、ある筈がないと思いながらも、なお。

(あの子は何度も奇跡を起こしたのだから。……今度も、また)

かえってきてほしい。
約束が、果たされることを信じているから。

ジェイドは目を閉じた。そうして彼の姿を思い浮かべた。
そうすれば、彼が近くにいるように感じられたから。彼の姿を思い浮かべることが出来たから。

そっと、彼の名を、呟いた。

(ルーク、……会いたい)

そして、目をゆっくりと開いた。



「…ただいま」
(これは、夢か?それとも、)
歩いてくるルークの姿。二度と見れないと思った彼の、
「……おかえり、なさい」
抱き締めた感触にジェイドは奇跡を知った。









(どうか聞いて下さい byafaik)
似たようなのを、書いたことがあるような気もしますが、まぁ。しかし短い。 シリアスを書かないとやる気が起きないので…

2009.04.19 →2010/8/28 chisa 少し加筆。ほんの少しです。わかるかな(笑)