この朱金の幼子を気にかけるようになったのはいつだっただろう。
ジェイドの腕を枕にして、すやすやと安らかに眠るルークの短い髪を梳きながら、ジェイドは考えた。
まだ7歳の子供だったというのに被験者たちの傲慢さ故に大罪を被せられ、
一人責められ、多くを背負い、終いには死をも強制された。
この、幼い子を。
アクゼリュスの時には抱かなかった筈の、この外見だけが青年への感情を
今ならばジェイドは素直に受け入れることが出来る。
彼がウ゛ァン・グランツだけをいつまでも慕う態度に苛立ちを覚えたのはいつだっただろうか、
それがはっきりと愛へと変化したのは。正確には思い出せない。
気付けば、彼は彼のままではあったけれど、彼ではなくなってしまっていて、私はやっとその時になって自分の愚かさを思い知った。
「ジェ…ィ…」
むにゃむにゃと寝言を言う青年の頭を撫でながら、ルークが悪夢をみていないことに安堵する。
「好きですよ、ルーク」
そう、あなた自身が。
愛してやまないのだ。この子供が。
それが親としての愛なのか、人としての愛なのか、ジェイドには判別が出来なかった。
私の罪は、私の全てになった。
この子をまた失ってしまったらと考えると生きていけないと思う程に。
「好きです…否、愛している」
睦言を囁くように何度も繰り返す。
この子供が眠っているからこそ言えるこの感情を、吐露するように。
そうだ、これは本来私には想う事さえも許されない禁忌の言葉。
だが彼は、ルークは寝ているのにもかかわらず、ふにゃりと笑ったのだ。
私にさえも。
まるでわかっているとでもいうかのように。
「ジェイド……」
寝ている筈の彼は正確に私の名を何度も呼ぶ。
「ジェイ…ジェ、ド…俺、すきだよ」
ハッとしたジェイドはルークを撫でていた手を止めた。
「ルークっ」
起こさない程度にだが、ジェイドは強くきつくルークを抱き締める。
歓喜と罪悪と幸福とほんの少しの後悔を感じながらも、ジェイドは嬉しさを感じずにはいられなかった。
「ルーク、ええ、私もですよ」
眠るルークに、抑えきれず一つ口付けを交わすと、ジェイドはルークを抱き締めたまま眠りについた。
彼が起きたらどう告白しようかと考えながら。
<軍人の恋物語で10題03:束の間の休息 追憶の苑様>
07/12/26 chisa