雲雀先生は確信犯!



 綱吉の家庭教師は大学生だ。そして綱吉は高校三年、受験生である。
 年の近いその家庭教師の先生を綱吉は雲雀先生と呼んでいた。先生はとても厳しい人だけれども、綱吉の話をちゃんと聞いてくれて、丁寧に綱吉が理解して解けるようになるまで教えてくれる人だったから、できの悪い弟の面倒をみてくれる兄さんみたい、なんて綱吉はこっそり思っていたりする。
「雲雀先生」
「なに?」
「今日の晩御飯、食べていかれますか?」
 今日の授業を終えて、今日はハンバーグって母さん言っていたんですと言う綱吉に、少し遠慮がちだけど嬉しそうにうんと頷いた雲雀先生はハンバーグが大好きなのだ。
 食卓に座り、いただきますと手を合わせて雲雀先生はその大好きなハンバーグに最初に箸をつける。
 お味はどうかしら?と奈々は少し心配そうにするが、とてもおいしいですと雲雀先生は返していた。
 雲雀先生をじっとみていたせいか、綱吉が物欲しそうに見えたのか、雲雀先生が欲しいの?けどあげないよ、とぱくりとハンバーグをまた一口食べる。
「そんなこと思ってませんよ!」
 なんだか悔しくなって綱吉もハンバーグをぱくり。あ、おいしいな。
 奈々がちょっとお隣さんのお家にいってくるわねと出て行ってしまったので、二人きりになってしまった綱吉と雲雀先生は向かい合わせでもそもそとそのおいしい手作りハンバーグをつつく。
「……食べ方へたくそだね、デミグラスついてるよ」
 雲雀先生は綱吉の顔を注視したかと思うと自分の頬をとんとんと叩いて教えてくれる。
 この年になってそんな恥ずかしいとことを先生に見せているなんて!
 口の周囲を軽く拭ってみたりしたけれど違うと首を振られ、唇をなめてみてもデミグラスソースの味は口の中にまだ残っているからか全然感じない。
 呆れたように溜息を吐く雲雀先生は綱吉に顔を近づかせるようにと指示したかと思うと先生自身もなぜか近付いてきた。
「そこじゃないよ。……ここ」
 ぺろん。
(……え、今、何が起こったの……? )
 ぺろんとなめられたのは、唇のすぐ端。
 ぬれたそれが綱吉の唇にまで少しふれたような気がしてわけがわからない。
「顔真っ赤だね」
 ごちそうさまとくすくすと笑う雲雀先生がやけにかっこよく見えてきて、綱吉は自分がおかしくなってしまったたのではないかとごしごしと目を擦ってみるのだった。





2013/03/07 ちさ
RTされたら家庭教師と生徒の設定でキスから関係が始まる大人ヒバツナ書きますという診断結果から。
最近ハンバーグネタばっかり(-_-;)